メキシコ国境に州兵を派遣 アメリカが危惧する本当の理由

2006年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米 北米

 世界有数の保養地メキシコのアカプルコで四月、警察官二人が首を切断し殺害された。その残忍な手口から、捜査当局はメキシコの二大麻薬組織の一つ「ガルフ」に雇われた隣国グアテマラの元特殊部隊カイビルのメンバーが関与している可能性が高いと見て捜査を続けている。 カイビルはゲリラ戦のために設置された部隊で、生きたニワトリを食べ、血を飲むことを訓練の一環とするなど厳しい規律で知られ、恐れられた。国連平和維持活動に参加したこともあるが、内戦後は解散された。 彼らの兵士としての価値に目をつけたメキシコの麻薬組織がカイビル元メンバーを雇い入れたと見られ、現在四十人程度が麻薬組織に属している模様。彼らの参加によって、「ガルフ」と対抗する麻薬組織「シナロア」との間の「戦争」が激化することも懸念されている。 ブッシュ米大統領はさきごろ、不法移民対策としてメキシコと接するカリフォルニア、テキサス州などの国境地帯に六千人の州兵を派遣することを発表したが、米政府は不法移民とともに麻薬組織が米国内に入ることを強く警戒している。すでに米国境に近いヌエボラレドなどでは麻薬組織同士の縄張り争いで治安が悪化し、米国人が誘拐されるケースも相次ぐなど、米国にとって麻薬戦争は「今そこにある危機」だ。

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