一九九〇年代、中国奥地の高原に生息するチベットカモシカが、高級毛織物の材料を手に入れようと外部から入った密猟者によって乱獲され、百万頭から一万頭にまで激減した。こうした事態を憂えてボランティアのパトロール隊が結成され、密猟者と命懸けの闘いを繰り広げた――九七年、知識層の読む週刊紙『南方週末』(広州市)の記事に衝撃を受けた陸川監督は思った。「この勇敢な男たちのことを記録に残そう」。 舞台は中国内陸の青海省チベット高原、新疆ウイグル自治区とチベット自治区の間に位置する「ココシリ」と呼ばれる秘境である。ココシリはチベット語で「青い山々」、モンゴル語で「美しい娘」を意味する。
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