インド「コピー薬品の雄」は盗賊かヒーローか

執筆者:マイケル・ビンヨン 2006年7月号
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

鳥インフルエンザに脅える途上国にコピー版「タミフル」は心強い味方だが、研究開発の成果を横取りされる製薬会社は収まらない。[ロンドン発]「国際的盗賊」――世界の巨大製薬会社は、インド最大のジェネリック医薬品(薬品の特許切れ後に他メーカーが製造する同じ成分の後発品)メーカー、シプラ社を率いるユスフ・ハミエドを指してそう非難する。インドをはじめとする発展途上国に、ジェネリック医薬品だけでなく、特許が切れる前の“コピー薬品”まで格安の値段で提供してきたからだ。 ハミエドのほうは、巨大製薬会社を「連続殺人犯」と非難して憚らず、彼らを相手に四十年にわたる闘いを繰り広げてきた。「(通常一日分約十ドルの)エイズ治療薬を一日分一ドル以下で提供する」と宣言して世界を驚かせたハミエドだが、今度は、スイスの製薬会社ロシュ社が独占的に製造販売するインフルエンザの治療薬「タミフル」のコピー薬を大量生産する準備を整えたと発表した。タミフルは、人への感染爆発が懸念される鳥インフルエンザに対しても効果があるとされ、世界の注目を集めている薬だ。 すでにインド政府は、シプラ社にコピー版タミフル「アンチ・フルー」の製造販売許可を与えており、ハミエドは、インド国内に三十拠点を数える自社工場から、この薬品を必要とする国に向けて即座に五十万カプセル(約五万人分)出荷することができると言明した。

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