日本撤退後も“浮上”せず株主の顔色をうかがう英ボーダフォン経営陣

2006年7月号
エリア: ヨーロッパ

 携帯電話の巨人、英ボーダフォンが五月末、新興市場の開拓や固定通信分野への本格参入などを柱とする新経営戦略を発表した。日本撤退後の成長軌道を描くことを期待されたが、株主から厳しい監視の目を向けられている事情もあり、いまひとつ新鮮味を打ち出せなかった。「サリーン社長は九十億ポンド(約一兆九千億円)出して、しばらくの時間を買った」。同社は戦略発表に合わせて、日本事業売却などで得た資金をもとに特別配当などの大型株主還元策を打ち出したが、英有力紙は経営陣の立場をこう表現した。 クリス・ジェント前社長の時代、大型M&A(合併・買収)で一大帝国を創り上げたボーダフォン。だが三年前、アルン・サリーン社長が就任してからは、基盤の欧州市場の伸び悩みと日本事業の不振で株価が低迷し、株主の批判にさらされる場面が目立つ。 巨額投資を重ねたジェント時代は株主還元が物足りなかったという経緯が、株主らの姿勢を強硬にしている面があり、その不満との対峙はサリーン氏の宿命といえる。だが昨年末から今年にかけては、こうした不満を取り込んだ経営陣の一部とサリーン氏の間で暗闘が繰り広げられ、同氏は主導権奪回のため、自らのアキレス腱となっていた日本事業の売却を余儀なくされるところまで追い込まれた。

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