豪州紀行(2)不動産の主役は「ユダヤ系」から「中国系」へ

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2014年7月7日
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス

 チャイナタウンに出かけたら、先ず中国語の書店を探すことにしている。店舗規模から住民の数を、店頭に並べられた本の内容や出版社の所在地から中国のみならず台湾や香港との関係の程度を、さらにはベストセラーの内容から住民の知的水準や意識傾向を類推してみる。次いで超級市場(スーパーマーケット)や便利店(コンビニ)を覗き、レジの横などに置かれた漢字のフリーペーパー、新聞、週刊誌などを手にする。それら活字媒体が伝える多種多様な情報から、それぞれのチャイナタウンの、その時々の世相を垣間見ることが出来るからだ。

 シドニーでも同じだった。先ず手にしたフリーペーパーには、乗用車の販売広告が満載されていた。それほどまでに住民の乗用車需要が多いということだろう。「華人による万全な対応、顧客の希望のすべて任せて下さい」などのキャッチコピーは当たり前として、「国語、粤語、客語で対応」と記されているところが不思議に思えた。それというのも、オーストラリアや隣のニュージーランドなど旧英連邦諸国は、同じ英国の植民地だったことから香港から移り住むことは容易であり、香港とのつながりが強く、14年前の返還前後には香港からの移住が盛んだった。それゆえに粤語(広東語)と客語(客家語)で客対応は十分と思えたからだ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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