拘束された「サルコジ仏前大統領」はベルルスコーニの道を辿るか

執筆者:国末憲人 2014年7月10日
エリア: ヨーロッパ
 果たしてベルルスコーニ氏(左)のごとく復権できるか (C)EPA=時事
果たしてベルルスコーニ氏(左)のごとく復権できるか (C)EPA=時事

 フランスのサルコジ前大統領が、疑惑捜査の過程で司法当局に短期間ながら拘束され、大きな騒ぎを引き起こしている。フランス第5共和制で、大統領経験者の拘束は前代未聞の出来事だ。捜査はまだ始まったばかりで、今回の騒ぎがそのまま起訴につながるわけではないものの、今後次第ではサルコジ氏の政治生命にかかわる可能性もある。フランス政界に与えた影響は小さくない。

 大統領退任後にいったんは政界を引退したサルコジ氏にとって、取りざたされる復帰への環境が厳しくなったのは間違いない。ただ、本人に懲りた様子はうかがえず、かえって司法批判を展開し、支持者固めに回っている。司法からの攻撃をかわしながら何度も政権に復帰したイタリアのベルルスコーニ元首相の手法の踏襲だ。両氏の手法の類似性は以前から指摘されており、これを「サルコベルルスコーニズム」と名付けた研究者もいるほどだ。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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