アメリカはミサイル発射をこう見ている

執筆者:マイケル・グリーン 2006年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 朝鮮半島

[ワシントン発]北朝鮮は、七発ものミサイル発射という暴挙によって世界を揺るがした。中国を含むすべての周辺関係国から直接、自制を求められていたにもかかわらず、金正日はあえて挑発行為に出た。なぜか? ワシントンの専門家の間では、以下の四つの分析がなされている。一、対米交渉を有利に進めるため 金正日はおそらく、自らが置かれた現在の戦略的地位に満足していない。二〇〇五年九月の六カ国協議における共同声明では、北朝鮮は核兵器と核開発プログラムの放棄を約束させられた。だが、金正日にその気はない。核の放棄と引き替えに、彼の思惑では軽水炉型原子力発電所を手に入れられるはずだった。代表団にもそう指示を出していた。しかし、共同声明に盛り込まれたのは、軽水炉については「適切な時期に」議論することのみで、しかも後日、適切な時期とは北朝鮮が核を放棄してからという意味だとの確認がされた。 一方、麻薬の不法取引と通貨偽造で得てきた外貨が、各国の締め付けにより流入しなくなってきた。 窮地を跳ね返すため、金正日はひとつの「輸出品」である「緊張」というカードを切ることに決めた。 ミサイル発射によって世界を揺るがせば、緊張緩和を願う韓国や中国、あるいは米議会からの圧力を受けて、米政府は直接対話に応じざるを得なくなる――おそらく金正日は、こう踏んだに違いない。

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執筆者プロフィール
マイケル・グリーン 1961年生れ。フルブライト留学生として東京大学大学院に留学。国会議員秘書や新聞記者などで5年間の滞日経験をもち、日本語に堪能。ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院(SAIS)より博士号取得。2001年、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)入りし、04年から05年まで上級アジア部長。06年初めよりCSIS日本部長とジョージタウン大学教授を兼務している。
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