ゲリラ掃討どころか首都が危ないフィリピン

2006年8月号
カテゴリ: 国際

 フィリピン国内で反政府武装闘争を続ける新人民軍に対し、アロヨ大統領は、国軍に掃討作戦を指示、「作戦は最終段階に入った」として今後約二年で新人民軍を完全に壊滅させると宣言した。 しかし、政府の国家安全保障担当のゴンザレス顧問が「大統領のいう二年では解決できない、五年はかかるだろう」と異論を唱え、政権内部での意思不統一が露呈した。 フィリピンでは、経済改革の行き詰まりや政治家の腐敗、身びいきによる不公平などに対し国民の不満が高まってきており、マニラ首都圏で最近相次ぐ爆弾騒ぎや、ことあるたびに再燃するクーデターの企ての噂など、アロヨ大統領は四面楚歌の状態にある。 とはいえ、野党勢力の指導力不足と組織力不足に助けられて、政権の致命傷には至っていない。そこで「起死回生の策」として打ち出されたのが「新人民軍壊滅作戦」で、約十億ペソの予算拠出を表明した。 しかし、ゴンザレス顧問や軍部の一部から「この予算では不十分、旧式の武器や装備を更新するのが精一杯」との異論が噴出している。 こうした大統領と政府、国軍の姿勢に、新人民軍はルソン島北部の拠点からマニラ首都圏に新たなゲリラ作戦を準備中との情報も。都市部の貧困層の間で新人民軍への支持が密かに拡大しているとの報告もあり、治安当局は掃討作戦どころではなくマニラ首都圏での警戒強化に追われる事態となっている。

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