マレーシア機撃墜:MASINTで決定的情報か――米、「情報源秘匿」で公開拒否も

執筆者:春名幹男 2014年7月20日
エリア: ヨーロッパ 北米

 ウクライナ東部ドネツク州東部で起きたマレーシア航空MH17便撃墜事件。米国やウクライナは「証拠」を挙げて、プーチン・ロシア政権の撃墜事件への関与を強調した。

 米国はいかにしてどのようなインテリジェンスを得たのか。それは信頼できる情報だろうか。

 

 SA11「ブク」発射でロシア技術者支援も

   オバマ米大統領は18日の演説で、MH17便を撃墜した「地対空ミサイルはウクライナ国内の親ロ派勢力が支配する地域から発射された」証拠があると指摘した。

 緊急に開かれた国連安全保障理事会では、サマンサ・パワー大使がもっと詳しく、その地対空ミサイルは「親ロ派勢力支配地区から作動したSA11の可能性が大きい」と言明した。大使によると、MH17便は高度約1万メートルを飛行中に撃墜されたが、当時親ロ派勢力支配地区に配備されていた地対空ミサイル(SAM)のうち、その高度に到達できるのはSA11のほか、SA20、SA22だけで、射程が短いSAMは到達しないと述べた。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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