“指揮官”の急逝で危ぶまれる阪急・阪神統合の前途

2006年8月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

 阪急ホールディングス(HD)と阪神電気鉄道との経営統合の陰の立役者だった三井住友銀行の宿沢広朗・取締役専務執行役員が急逝した。宿沢氏は西日本担当の法人営業の幹部として今春まで大阪を中心に動いていた関係で、阪神株問題でもメーンバンクの代表として村上ファンド対策の指揮を執っていた。 阪急の財務アドバイザーであるGCA代表の佐山展生氏も三井住友の元行員であったことから、「阪急HDとの統合を佐山氏と中心となって推し進めた」(阪急HD関係者)。 村上世彰被告の逮捕により阪急HDによる阪神株のTOB(公開買付け)は成立。株主総会でも議論は紛糾したものの、統合は承認された。しかし、その効果は依然として説明されておらず、「ファンド排除のための経営統合」(大手証券アナリスト)と酷評されている。阪急・阪神は宿沢氏を頼りにし、「アナリストをはじめとした市場関係者や金融機関への根回しをこれからじっくりしてもらうはずだった」(阪神幹部)が、同氏の急逝で、「統合の説明ができる人物がいなくなってしまった」(同)と困惑している。 阪急HDの株価も軟調に推移している。グループの大和証券SMBCなどの承諾も得て合意にこぎつけた阪急・阪神の統合は、陰の主人公を欠き、先行きに不透明感が漂う。さらには「阪急の財務の悪化を理由に株主代表訴訟のリスクも高まっている」(大手証券幹部)という。

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