ソニー“完全復活”に立ちふさがる三つの関門

2006年8月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「ソニー再生は適切な軌道に乗り、予定通りに進んでいる」 六月二十二日、新高輪プリンスホテル。ソニーの株主総会で初の議長を務めたハワード・ストリンガー会長兼最高経営責任者(CEO)は、昨年秋に投入した薄型の液晶テレビ「ブラビア」のヒットなどで大きく伸びた二〇〇六年三月期の業績に触れ、“復活”への手応えを強調した。 売上高が七兆四千七百五十四億円(前期比四・四%増)、営業利益は千九百十三億円(同六七・九%増)、税引き前利益は二千八百六十三億円(同八二・一%増)――たしかに、連結業績の数字は上向いている。 好調の液晶テレビは今年度、前年度の二倍以上になる六百万台の販売を目標とする。話題作「ダ・ヴィンチ・コード」の興行収入が七億ドル(約八百億円)を超えた映画事業は増収増益が確実だ。ソニーの近況は好材料ばかりのようにみえる。 だが、現状は“負け組からの脱出”に過ぎない。昨年度の収益に貢献したのは株高の恩恵を受けた金融事業で、主力のエレクトロニクス部門は営業赤字を脱しきれなかった。 テレビ事業を統括する井原勝美副社長は、昨年のクリスマス商戦でテレビ世界一に返り咲いたブラビアの成功に胸を張るものの、それとて“借り物”との批評がつきまとう。基幹部品の液晶パネルは、韓国サムスン電子と折半出資で設立した韓国の工場で製造される。ソニーは独自技術で画質などを向上させた「ソニーパネル」だと豪語するが、ライバル会社は「実態はサムスンパネル」と冷ややかな視線を送る。

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