ゲイツ「巨大財団」が富の配分を変える

執筆者:喜文康隆 2006年8月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

「すでに必要以上に富裕になっている人たちが、裕福さを表示するという以外にほとんど、あるいはまったく快楽を生むことがないもろもろの物を消費する資力を倍加するということが……なにゆえ喜ぶべき事柄であるのか、私には理解できないのである」(ジョン・スチュアート・ミル『経済学原理』)     * 記者会見のホームページの動画で、ビル・ゲイツが特徴のある裏返った声で「transition, transition」と繰り返している。「本当にそうだな」と思った。ゲイツはマイクロソフトの移行期について語っている。しかし、資本主義という世界システム自体、本当にtransitionのさなかにある。 六月十五日、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは、二年後に、彼の活動の軸足を、マイクロソフトの経営から、夫婦で運営する「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」へと移すという「過渡期プラン(Transition Plan)」を発表した。 余韻さめやらぬ六月二十五日。今度は投資家ウォーレン・バフェットが、私財三百十億ドル(約三兆六千億円)を、ゲイツ夫妻が運営するこの財団に寄付することを発表した。 ゲイツは、マイクロソフトの創業者として、一九八〇年以降わずか二十年間で同社を世界最大の会社に育て上げた。一方、バフェットは、一九六〇年代以降、投資会社バークシャー・ハザウェイの会長兼CEO(最高経営責任者)として、コカ・コーラやワシントン・ポスト、ソロモン・ブラザーズなど数々の会社の「静かな大株主」として存在感を示してきた。

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