メキシコ大統領選「勝敗の分れ目」は“チャベスの幻影”

執筆者:庭田学 2006年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米

[メキシコシティー発]七月二日に実施されたメキシコ大統領選挙は大接戦となった。中道右派と中道左派の争いの末、中道右派で与党・国民行動党(PAN)のフェリペ・カルデロン元エネルギー相(四三)がなんとか勝利を収めた。得票率の差はわずか〇・五八ポイント。敗れた中道左派の革命民主党(PRD)、アンドレス・ロペス・オブラドール前メキシコ市長は、結果を不満として選挙裁判所に提訴するが、左派候補がメキシコ史上初めて政権の座に手が届くところまで躍進したこと自体が、ラテンアメリカのいわゆる「左傾化」を示している。 今回の選挙戦で注目されたのは、カルデロン氏側が「左派が大統領になったらメキシコはベネズエラのように混乱する。(外国からの)投資はなくなり経済は破綻する」と国民の「不安を煽る」戦略をとったことだ。これは六月に決選投票があったペルー大統領選で、当選した中道左派のガルシア元大統領が、急進左派候補相手にとった手法と同じ。ラテンアメリカの反米左派の代表格、ベネズエラのチャベス大統領を対立候補と意図的にダブらせ、「米国と激しく対立するベネズエラのようになっていいのか」と有権者にアピールしたのだ。この作戦でペルーのガルシア氏は成功し、メキシコでもカルデロン氏の当選に大きく寄与した。

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