インドネシア大統領選挙(下)新大統領が早くも直面する「2つの難題」

川村晃一
 新大統領(左)でも、与党党首であるメガワティ氏(中央)には気を使わねばならない (C)AFP=時事
新大統領(左)でも、与党党首であるメガワティ氏(中央)には気を使わねばならない (C)AFP=時事

 7月22日にジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)の当選が公式に発表されると、翌日のジャカルタ株式市場や外国為替市場はこれに好意的に反応した。諸外国の首脳も、庶民派大統領の誕生を歓迎した。各国メディアも、「改革派」の大統領誕生を賞賛する記事を掲載した。ジョコウィと大統領の座を激しく争ったプラボウォ・スビアントは、国軍将校時代に人権侵害事件に関与した疑いがあり、扇動的な言動が目立ち、行動の予測が付かないと多くの外国人から評価されていただけに、穏健で対話を重視するジョコウィの当選に諸外国はホッと胸をなで下ろした。

 ただし、ジョコウィ新大統領の誕生は、諸手を挙げて歓迎されているわけでもない。外国メディアは、ジョコウィ大統領の誕生を高く評価しつつ、とくに実行力不足の可能性を懸念している。

 

指導力を“発揮させない”制度

 大統領の指導力に対する期待が高まるのは、選挙後における政治の常でもある。2004年にインドネシア史上初めて大統領の直接選挙が実施され、スシロ・バンバン・ユドヨノが当選を果たしたとき、国民は軍人出身の新大統領の指導力に期待した。2009年にユドヨノが得票率60.8%で再選されたときも、高い正統性と支持率を背景に大統領が指導力を発揮してくれると国民は考えた。

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執筆者プロフィール
川村晃一
川村晃一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 地域研究センター副主任研究員。1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、ジョージ・ワシントン大学大学院国際関係学研究科修了。1996年アジア経済研究所入所。2002年から04年までインドネシア国立ガジャマダ大学アジア太平洋研究センター客員研究員。主な著作に、『2009年インドネシアの選挙-ユドヨノ再選の背景と第2期政権の展望』(アジア経済研究所、共編著)、『インドネシア総選挙と新政権-メガワティからユドヨノへ』(明石書店、共編著)、『東南アジアの比較政治学』(アジア経済研究所、共著)、『新興民主主義大国インドネシア-ユドヨノ政権の10年とジョコウィ大統領の誕生』(アジア経済研究所、編著)などがある。
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