「中国との対比」で考える安倍首相の「中南米アプローチ」

 8月1日、ブラジルのルセフ大統領との会談を前に歓迎を受けた安倍首相 (C)AFP=時事
8月1日、ブラジルのルセフ大統領との会談を前に歓迎を受けた安倍首相 (C)AFP=時事

 7月25日のメキシコ訪問に始まり、8月2日のブラジル訪問をもって、安倍晋三総理の5カ国、9日間に及んだ中南米歴訪が終了した。2012年12月就任以来、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、アフリカを含め精力的に世界を歴訪した安倍政権にとって、最後に残されたのが中南米地域であった。

 今回の総理の中南米歴訪は、70人に及ぶ産業界首脳を引き連れてのものであり、資源供給地であることはもとより、安定した成長市場と生産拠点として重要度を増している中南米諸国との関係強化を図ることに主たる目的があった。170万人を超える日系コミュニティーを擁する親日的な伝統的友好関係の増進と国際社会でのパートナーシップを関係国と確認するという点を含め、まずまずの成果を収めたといえる。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top