「中国との対比」で考える安倍首相の「中南米アプローチ」

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2014年8月7日
エリア: 中南米 中国・台湾
 8月1日、ブラジルのルセフ大統領との会談を前に歓迎を受けた安倍首相 (C)AFP=時事
8月1日、ブラジルのルセフ大統領との会談を前に歓迎を受けた安倍首相 (C)AFP=時事

 7月25日のメキシコ訪問に始まり、8月2日のブラジル訪問をもって、安倍晋三総理の5カ国、9日間に及んだ中南米歴訪が終了した。2012年12月就任以来、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、アフリカを含め精力的に世界を歴訪した安倍政権にとって、最後に残されたのが中南米地域であった。

 今回の総理の中南米歴訪は、70人に及ぶ産業界首脳を引き連れてのものであり、資源供給地であることはもとより、安定した成長市場と生産拠点として重要度を増している中南米諸国との関係強化を図ることに主たる目的があった。170万人を超える日系コミュニティーを擁する親日的な伝統的友好関係の増進と国際社会でのパートナーシップを関係国と確認するという点を含め、まずまずの成果を収めたといえる。

 中南米諸国が全体で人口6億人を擁す安定した成長市場であるという点を日本はもっと認識すべきであろう。過去10年間の持続成長の結果、ミドルクラスが約1億人から1億5千万人に増加、世界銀行はその成長ぶりを中南米の「ミドルクラスの台頭」として報告している(2013年8月14日拙稿「中南米を襲う『ミドルクラス革命』の波」参照)。中南米諸国は全体で、1人当たりの国民所得が1万ドルを超えた。日本と同程度の経済規模で、民主化が定着し、紛争もない、成長著しい新興国途上国の中でも桁外れに安定した地域といっても過言ではない。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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