東南アジアの地殻変動(下)「タイ」「ミャンマー」は「親日」なのか?

樋泉克夫

 6月上旬、NCPO副議長で財務・運輸・商務など経済省庁を統括するプラチン空軍司令官は、各省トップを前に、前政権の策定した高速鉄道整備計画の継承を明らかにした。だが6月19日、プラユットNCPO議長は、前インラック政権が掲げた一連のインフラ計画凍結と大幅見直しを発表している。そして最近になって、中国との高速鉄道計画は認可された。

 この間、7月下旬、ミャンマーは中国との間の鉄道建設計画協定の破棄を申し出る一方、対米接近に積極姿勢をみせる。コカ・コーラ、ゼネラル・モーターズ(GM)など米有力企業のミャンマー進出は急だ。

 一方、タイの動きを見ると、ちょうど国家立法議会が発足した翌日の8月8日、バンコクでタイ中国戦略検討会が開かれている。同検討会は、両国間の経済・貿易・投資・文化など多方面にわたる協力関係構築のために2012年に発足し、初年度はバンコクで、昨年は厦門で開催され、第3回大会となる今回の主役の1人は、予想に違わず、前述した3人目のキーマン、ソムキットである。

 第3回タイ中国戦略検討会と前後して、ミャンマーの首都・ネピドーではASEAN諸国に日米中の外相が参加したASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれているが、南シナ海での紛争回避に向けた「行動規範」策定問題に関し、議長国のミャンマーは「中立」を表明し、中国寄りの姿勢を明らかにした。どうやら、中国とミャンマーとの互いの国益を賭けてのせめぎ合いがはじまったようだ。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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