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スパイ防止対策で「防諜の鎧」構築:「メルケル盗聴事件」処理に難儀するドイツ

春名幹男
執筆者:春名幹男 2014年8月19日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ヨーロッパ 北米

 米国家安全保障局(NSA)によるメルケル・ドイツ首相の携帯電話盗聴が昨年10月に発覚して以来、長期にわたって米国とドイツの対立が深刻化している。

 ドイツ連邦検察庁が6月、首相の電話盗聴事件の捜査を正式に開始しただけではない。

 ドイツ政府は、7月初め表面化した「ドイツ連邦情報局(BND)」要員の二重スパイ事件に絡んで、米中央情報局(CIA)ベルリン支局長を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外退去を命じ、事実上米国に報復するとともに、「防諜の鎧」を固める各種対策に乗り出した。

 

暗号付き携帯を配布

 ドイツ情報体制は、首相直属の対外情報機関であるBND(推定6000人)と内務省傘下の防諜機関「憲法擁護局(BfV)」(同2700人)、軍の防諜機関「軍防諜局(MAD)」(同1300人)の3大情報機関を中心に構成されている。情報機関員は全部で1万500人程度とみられる。

 ドイツ政府が着手した防諜対策はこれら3大機関にまたがって実行されるようだ。

 第1に、防諜予算の拡充と防諜担当要員の増強である。トマス・デメジエール内相は「効果的防諜と同様、わが国の通信への攻撃に対する防護は、強力な民主主義に不可欠だ」と述べた。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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