原子力再評価で「ウラン争奪戦」が始まった

執筆者:五十嵐卓 2006年9月号
カテゴリ: 環境・エネルギー

サンクトペテルブルク・サミットでも原子力への“回帰”が確認された。原発再評価で激しくなるのはウラン鉱山の権益獲得競争だ。 レギュラーガソリンが一リットル百四十円台に乗るなど原油価格の高騰が庶民生活にも実感できるようになってきたが、この数年、原油をはるかに上回るペースで急騰したエネルギーがある。 原子力発電の燃料となるウランである。ウランは岩石や海水の中に微量に含まれており、地球上に広く存在しているが、商業的に利用可能な含有度の高いウラン鉱石は限られており、一般の金属鉱物と同じようにウラン鉱山を開発し、鉱石を砕いて化学的に処理し、ウランを抽出する。 これがエネルギー業界内で「イエローケーキ」と呼ばれるウラン精鉱(八酸化三ウラン=U308)であり、イエローケーキの価格が急激に上昇しているのだ。イエローケーキのスポット価格は二〇〇二年冬に一ポンド約十ドルだったものが、〇四年夏に二十ドルを突破、さらに〇五年夏に三十ドル台にのった。現在は四十六ドルに達しており、三年半で四倍に高騰した計算だ。 ウラン市場は電力会社と鉱山会社の間で結ばれる長期契約が九割近くを占めており、スポット市場の急騰がウランの調達全体に直接波及しているわけではない。だが、長期契約の価格はスポット市況を参考にするため、「スポット価格急騰がいずれウラン調達コストを押し上げる」(電力会社関係者)のは確実。

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