“証券の番人”が証券会社から迎えた「補佐官」の力量

2006年9月号
エリア: 日本

 証券取引等監視委員会(高橋武生委員長)が、野村ホールディングス元取締役の熊野祥三氏(五九)を委員長補佐官に迎えた。体制強化と証券知識の吸収のために民間専門家を迎える一環で、委員長補佐官としては四年前に日興コーディアルグループ元副社長の山元高士氏(昨年退任、現ジャスダック取締役)を招いたのに次ぐスカウトだ。 熊野氏は東大卒業後、野村証券に入社。本人は「ペロ(客の注文伝票)を書いたことがない」と“自慢”しているが、実際、営業成績がモノを言う証券界で、伝票を書くことなく取締役に昇進した珍しい人物だ。野村証券では法務部門が長かったが、国際金融部の経験もある。その国際金融部時代には三菱重工業が国内と海外で手がけた転換社債発行で海外発行に携わったという。そんな経歴がスカウトされた理由らしい。それはこれからの監視委員会の動向を物語っているともいえる。 証券取引等監視委員会は一九九一年の証券・金融不祥事をきっかけに翌年設置された組織である。以来、権限は拡大されてきた。だが、世間から喝采を浴びるような事例は目立たない。たとえば、今年、摘発されたライブドア事件で注目されたのは東京地検特捜部だ。監視委員会はむしろ、特捜部がライブドアの家宅捜索を行ない、その模様がテレビ中継されていた一月十六日の夕方に突然、ライブドアの証券取引法違反容疑について記者発表を行ない、記者から「今ごろになって」と顰蹙を買ったほどだ。監視委員会は、特捜部と共同で不正摘発に励んでいる、とアピールしたかったのだが、特捜部が動いた後では存在感は薄かった。

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