運用難の投資ファンドが「最後の大物」に群がる

執筆者:鷲尾香一 2006年9月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

景気の回復が再生案件を減らし、投資ファンドは資金の運用先に頭を悩ませている。必死にのばす触手の先には――。「MBOを検討している企業を紹介して欲しい」 証券会社の企業担当アナリストに、投資ファンドからの問い合わせが頻繁に寄せられているという。 MBOは、経営陣が投資ファンドなどから資金的な支援を受け、自ら経営する企業やその事業部門を買収する際に用いられる手法だ。もともとの用途は事業再編の一環だったが、最近では敵対的買収に対する防衛策として使われることが多い。 六月八日、すかいらーくは、横川竟会長兼最高経営責任者ら創業一族と経営陣がMBOを実施し、株式を非公開にすると発表。設立した特別目的会社(SPC)によるTOB(株式公開買い付け)も成立し、九月下旬に上場廃止となる見通しだ。 二千七百億円を超える買収資金は国内最大規模。すかいらーくの経営陣は、なぜ巨額の資金を手当てしてまでMBOに踏み切ったのか。 少子高齢化が進み、ファミリーレストランなど既存の事業だけでは将来の成長が期待できない。事業の整理・縮小や新業態への転換など抜本的な見直しが必要となるが、それを実施すれば大幅な減益になる可能性が高く、赤字転落にもつながりかねない。そのため、株価に影響されずに意思決定ができる株式非公開化の道を選択した――これが横川会長の公式説明だ。同時に「(株式全体の一八%を保有する)創業家の四兄弟のうち一番上は七十五歳。創業家が欠けた結果、株がバラバラになるのは危ない」と、敵対的買収に対する防衛策という狙いも示された。

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