北のミサイル発射を傍観した「中朝関係」の真実

執筆者:藤田洋毅 2006年9月号
カテゴリ: 国際

中国は、北からの難民流出に備え、着々と手を打っている。これまで使いわけてきた「アメとムチ」の、ムチを強める準備も進み――。「小胖子はどこにいる? 生きているのか?」――七月五日、北朝鮮のミサイル連射の一報を耳にした中国首脳の一人は、こう口走った。北の軍部が金正日総書記を軟禁するなど「何らかの異常事態が起きたのではないか」と、とっさに想像したのだという。朝鮮戦争に参戦した軍長老らは、かつて金正日を「小金」(親しみを込めた「金坊ちゃん」のニュアンス)と呼んでいたが、いまや「小胖子」すなわち「ちびデブ」になりはてたのだ。 党中央の若手中堅幹部は言った。「わが国と朝鮮の戦略的利益は、ますます交わらなくなってきた。万が一の事態に備えなければならない」 幹部は、訪米した制服組ナンバー1の郭伯雄党中央軍事委員会副主席(政治局員)が七月十九日、米国防大学での講演後に北のミサイル連射について質問され、「事前通報はなかった。とても意外だった」「米国の報道で発射を初めて知った」と述べたのは「半ば本音です」と明かし、続けた。 北がミサイル発射を準備中との情報が駆け巡った五月以降、中国は水面下で「あらゆるルートを使って金正日の真意を探り、翻意を促そうとしたが、徒労に終わった」。「それどころか」と幹部は語気を強めた。「関係部門の同僚によると、北は中国の黄海方面に向け試射したいと内々に打診していた」。

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