解禁したはずの海外運用 当局の姿勢に大差あり

2006年9月号
エリア: 中国・台湾

 中国人民銀行(中央銀行)と外国為替管理局が今年四月十四日、国内銀行、保険および資金運用会社に対し、海外などオフショア地域での人民元以外の通貨による資産運用を解禁したことは六月号で既報の通り。 自己や顧客資金の投資・運用を認めるこの措置は、適格国内機関投資家(QDII)制度の実質的な適用開始を意味する。貿易や直接投資以外での資本流出を止めてきた規制策を緩和するため準備されていたものだ。 貿易黒字が膨れ上がり、不動産を中心とする投機的な資金流入など海外からの中国国内への直接投資が増大し、中国の外貨準備高(外準)は約九千四百億ドルに達した。二〇〇六年通年の貿易黒字額だけでも千四百億ドル超と予想され、今年末までに外準の一兆ドル突破は必至。 起債が相次ぐ国内資本市場により、ある程度の資金吸収効果は見込まれるものの、現在M2マネーサプライ(現金通貨+普通・当座預金+定期・外貨預金)は前年比一八%増のペースで拡大中。諸外国からの活発な資金流入と、国内で高まる資金流動性が、中国の景気を著しく過熱させる危険性がある。 銀行を監督する中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は迅速な対応を見せた。過去三カ月の間に、QDII制度のもと国内商業銀行による海外投資や国外市場での運用を容認し、資金の国外流出を促す。七月二十一日には中国銀行、東亜銀行と中国工商銀行の三行が総額四十八億ドル規模のQDII枠を認可されたのに続き、八月二日には中国建設銀行が二十億ドル、中国交通銀行は十五億ドルの海外投資枠を認められた。七月以降だけでも、政府が認める国内金融機関による海外投資額を示すQDII枠は八十三億ドルにまで拡大した。ちなみに、こうした海外投資の対象商品はBBB(トリプルB)以上の格付けを持つ債券に限られている。

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