生活保護制度の「正しい見直し」は実現するか

執筆者:山田利三 2006年9月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

骨太の方針に盛り込まれたものの、社会保障費の「削りやすいところから削る」という姿勢があからさま。これでは不正や不公平は正せない。 二十年近く前に、九州の旧産炭地を訪れたことがある。ちょうど生活保護費の支給日だった。支給を告げる花火が朝から打ち上げられ、役場前の通りには屋台が列をなし、縁日さながらの賑わいをみせていた。受給者と借金取りの小競り合いを横目に、高級車で乗りつけ悠々と給付を受けに来る人も少なくなかった。 かつての、しかも極端な例だと思いたい。だが、不正受給はいまも絶えず、政府・与党内にも「国民の不公平感が他の社会保障制度にも影響を与える」との懸念は根強い。 生活保護は、憲法二五条一項の「生存権」を保障する制度だ。一九五〇年に制度がスタートしてから生活困窮者の「最後のよりどころ」となってきた。八三年二月以降の好景気や、八六年四月の基礎年金制度創設などにより、受給者数は八五年度から漸減してきた。しかし、世界最速級で進む高齢化にバブル経済崩壊が追い討ちをかけ、九五年度の八十八万二千人を境に反転。二〇〇四年度は百四十二万三千人に総額二兆五千九十億円が支給された。 制度は基本の生活扶助を含め、教育、住宅、医療、介護など計八種類の扶助からなる。そこに、母子加算や障害者加算が加えられる場合もある。本人の所得を審査し、扶助基準額と比較したうえで、基準額に満たない分を月に一度支給する仕組みだ。

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