ウクライナ危機:国際秩序「維持派」と「修正派」の対立

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2014年9月10日
エリア: ヨーロッパ ロシア

 9月5日、ベラルーシの首都ミンスクで、ウクライナ政府と親ロシア派武装集団は停戦で合意した。停戦文書は、親ロシア派とロシア政府、ウクライナ政府、それにOSCE(ヨーロッパ安全保障協力機構)の代表らが出席した協議で署名された。その内容は12項目に及び、3日にプーチン露大統領が提案した行動計画を受け入れたものだった。停戦・兵器の撤収、OSCEによる停戦監視、拘束された兵士や戦闘員の交換、ウクライナ東部への人道支援、ドネツク・ルガンスク両州の一定地域での自治に関する法律制定(特別の地位)と脱中央集権化、同法による前倒しの地方選挙実施、両州で起きた事件の関係者の訴追・処罰をしないことなどである。

 

ロシア有利の外交ゲーム

 署名直後のウクライナ側の意向では、拘束された兵士や戦闘員の交換を翌日から開始し、人道支援も始まる予定と伝えられ、すでに1200人の拘留者が解放された。停戦監視には、OSCEが無人偵察機なども利用して協力する用意があると発表した。

 ウクライナ東部での戦闘は、4月に始まり、6月と7月に停戦合意に到ったが、いずれも一時的なものに終わっている。戦闘開始以後、2500人もの犠牲者がでており、今回の停戦が本当にこの地域での安定をもたらすものなのかどうか、いぶかる声も多い。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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