拿捕された吉進丸立件へ 海保が苦渋の選択

2006年10月号
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: 日本

 今年五月以来、ロシア国境警備局が極東海域での密漁の取締りを強化している。ロシア政府は、千島諸島に対し七百六十億円相当の経済投資を決めるなど極東開発に意欲を見せており、この海域での治安維持強化もその一環と考えられる。 ロシア当局によると、貝殻島近海で拿捕された第31吉進丸は、無灯火で国旗も掲げずに漁を行ない、停船命令を発し漁船に乗り込もうとしたロシアの警備隊員に抵抗して逃亡。その際、警備隊員による威嚇弾が甲板員の盛田光広さんの頭部にあたり死亡したとしている。 坂下登船長は、領海侵犯と密漁の容疑で起訴され、国後島で裁判を受けるが、日本の海上保安庁も密漁の疑いで立件の検討を進めている。 坂下船長は、かつて自衛隊や警察に関する情報をソ連に渡し、密漁を黙認されていた「レポ船」に関与した過去をもち、違法操業の逮捕歴がある。北海道庁は、ロシアの主張する中間線に沿った自主規制ラインを設け、それを越えての出漁を禁止しており、今回の操業は条例違反に当たる。根室海上保安部では、坂下船長の所属する漁協などに対し、再三にわたり密漁の中止を呼びかけてきたが、「北方領土海域は俺たちの海だ」と聞く耳を持たない漁民も多い。

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