中朝国境で飛び交う北朝鮮がらみの偽情報

2006年10月号
カテゴリ: 国際

「テポドン2号打ち上げは、失敗ではない。将軍様の指示通り、自爆させた」――七月下旬、北京の軍中枢に“極秘情報”が届いた。北朝鮮が七月五日に連射したミサイルの中で最も注目されたのはテポドン2号。日米両国は「発射四十秒余りで爆発、完全な失敗だった」とほぼ断定している。ところが、北朝鮮と接する中国軍瀋陽軍区の情報部門は、「北の軍幹部から発射成功との情報を得た」と、軍総参謀部二部に報告したという。 中国筋によれば、北の複数の軍幹部が「今回は我々の力(ミサイルの性能)を見極めるのが狙い。軌道に乗った二十数秒後に地上から自爆指令を送った」と明言した。報告を受けた総参謀部二部は、「軌道」が発射から始まる「軌道」か「周回軌道」を意味するのかなど「あまりに曖昧な内容が多い。北は国内幹部向けに発射成功と説明しているのだろう」と結論を下した。 国境地帯での交流を通じての情報だったということにも、総参謀部は疑念を募らせた。鴨緑江をはさんで北朝鮮と接する遼寧省丹東市には、北や韓国、中国をはじめアメリカや日本、台湾までもが人を派遣し、情報活動を展開しているからだ。 中国の軍中央の幹部によると、中でも「北が経済交流を装って送り込む関係者は、しばしば偽情報を流して中国側を攪乱する」。さらに、中国企業や党・政府の幹部、新聞記者からホテル従業員にまで「仮に米帝が朝鮮を侵略すれば、中国は再び義勇軍を送ってくれますか」などとしきりに問いかける。中国の国家安全部は、「当時とは国際情勢が変化しましたし、何より中国自身が大きく変化しました」との“模範回答”を関係部門に伝達するなど、カウンターインテリジェンスを強化している。韓国紙がしきりに丹東発で金正日訪中を報じるのも、入り乱れた情報戦の余波だという。

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