就任二カ月で難題に直面した日立新社長の苦悩

執筆者:杜耕次 2006年10月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

発想豊かに経営を立て直すつもりだったはずだ。だが、就任早々に見舞われた原発事故の処理以外にも「再生」への課題は山積し……。「一日ごとに四億円……」 この夏、日立製作所社長、古川一夫の脳裏には、おそらくこんな数字が去来していたことだろう。 六月十五日に起きた中部電力・浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)5号機のタービン破損・脱落事故。同型タービンを使用している北陸電力・志賀原子力発電所(石川県志賀町)2号機でも動翼に多数の破損やひび割れが見つかり、タービンの製造元である日立の設計・施工ミスとの見方が有力になっている。 七月二十八日、中部電力社長の三田敏雄は記者会見で「(日立に対する)損害賠償請求を含めて対応を考えたい」と言及。八月二日、日本経済新聞が朝刊一面に「中部電、日立に一千億円超請求へ」の四段見出しの記事を掲載、場合によっては法的手段も辞さないとする中部電力の強硬姿勢を報じた。呼応するように北陸電力社長の永原功が翌三日、日立の責任が明らかになれば損害賠償請求を検討する考えを表明。日立の窮状がにわかに際立ってきた。 浜岡、志賀の原発二基はすでに運転停止に追い込まれているが、これが来年三月まで続いた場合、改修費や不足する電力を補うコスト増加分を合算すると、八月末時点の試算では中部電力が千二百八十億円、北陸電力が百九十億円にそれぞれ達する見通しだ。中部電力は不足電力を主に石油火力で補っており、原油高の影響をもろに受ける。加算コストは「一日に四億円」。中部電力に続いて、北陸電力もすでに事故に伴う今期業績の下方修正を発表している。

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