北朝鮮拉致問題:報告「先送り」で問題は前進するのか?

平井久志
執筆者:平井久志 2014年9月24日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮が行っている拉致被害者の安否を含めた日本人に関する再調査は「夏の終わりから秋の初め」に最初の報告があるとされたが、これが先送りされた。最初の報告がいつになるのかの目途も立っていない。難航が予想された再調査だが、スタートからつまずいた状態だ。だが、報告を「先送り」するだけで事態は進展するのだろうか。

 菅義偉官房長官は9月19日の記者会見で、再調査について、北朝鮮側から「調査は全体で1年程度を目標としており、現在は初期段階にある。この段階を超える説明はできない」と伝えてきたと述べた。当初は9月第2週にもあるとされてきた最初の報告だが、迷路に入り込んだ形だ。

 一方、北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は平壌で9月9日に共同通信と会見し、日本側への最初の結果報告について「現在の状況でも(日本側に伝達できる内容は)十分にある。ただ、日本側から外交ルートを通じ、その通知を求める公式な要請はない」と述べた。

 この2つの発言には大きな食い違いがある。宋日昊大使は「報告できる内容は準備できているが、日本側からその報告を求める通知がない」としている。これに対し、菅官房長官は、「北朝鮮が初期段階を超える説明はないとしている」とし、政府認定の拉致被害者の調査結果が含まれないなら報告を聞く必要はないという姿勢だ。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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