饗宴外交の舞台裏 (105)

フィリピンからやってきたホワイトハウス初の女性料理長

執筆者:西川恵 2006年10月号
エリア: 北米 アジア

 ホワイトハウスの女性料理長、クリスティータ・カマフォードさん(四三)は、八月末、三週間の家族旅行のバカンスからジョージタウンの自宅に戻った。 ホワイトハウスで十年間、副料理長をしてきたカマフォードさんが料理長に抜擢されたのは昨年八月半ば。この一年間、携わった饗宴に迎えた外国首脳は、主たるところで胡錦濤・中国国家主席、小泉首相、ハワード豪州首相、ブレア英首相がある。さらに折々のパーティーや食事会。料理長になって最初の長期休暇は、緊張の日々を忘れる機会になったはずである。 前料理長のウォルター・シャイブ氏はブッシュ大統領が二期目の就任を果たした直後の昨年二月更迭された。そもそもは一九九四年、ホテルの料理長をしていたとき、脂肪分の少ないヘルシー料理志向のヒラリー・クリントン大統領夫人(当時)が、同氏が得意とする米国の地方料理を気に入り、ヘッドハンティングした。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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