「自称イスラム国」問題と日本の安保政策の停滞

2014年10月1日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 冷戦終焉後から国家や戦争の概念は急激に変化してきた。イスラエル・ヘブライ大学の教授を長く務めたマーチン・V・クレフェルト氏は、「クラウゼヴィッツの戦争の世界は変わった。今日では、武力を行使する全ての戦いを『戦争』と呼ばなければ軍事力の果たす役割を理解できないだろう」(石津朋之監訳『戦争の変遷』2011年)とし、石津(防衛研究所)は、「しかも、本来は戦争のために存在した軍隊が非軍事的役割を果たす時代でもある」と付言している。

 

 時代の変化に追随、先行できない国家は、ダーウィンが言う「適者生存」を証明するように退化していく。

 

「国家」の成立には、「国家たる要件」が備わっている主体が「国家宣言」を行い、すでに国際社会において国家と認められている国がこれを「承認」するプロセスを要する。国や集団が他に自分の言い分を認めさせるには、お互いに風習、制度、法が異なっても、異見を容認しなければならない。それが国際社会の秩序でもある。しかし現実には武力行使による「殺戮と破壊」の脅迫で主張の実現を図ろうとする行為がある。現在最も深刻な社会現象に「自称イスラム国」の暴挙がある。

 

 多様な騒乱を総じて見れば、それは、冷戦構造崩壊後に「力の抑圧と分断」から解放されて生じた宗教や民族、部族の間の主導権を巡る闘争、秩序再編や民主化を目指す内乱などに顕著である。それらの特徴は、旧植民地宗主国が領域の線引きを行った地域の後遺症であり、旧東側諸国の混乱でもある。しかも大国が主導する国際システムの騒擾への介入は、解決を一層困難にし、「秩序を押し付ける」旧植民地宗主国や東西冷戦の盟主に対する反発の連鎖となっている。

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