レバノン危機は中東をどう変えたのか

当事者のイスラエルとヒズボラだけでなく、親米アラブ穏健派諸国からトルコ、シリアまで、関係諸国はみな立場の変化に直面した。[ドバイ発]国連安全保障理事会が、イスラエルとヒズボラ(レバノンを中心に活動するシーア派軍事・政治組織)に対する停戦決議を全会一致で採択してから一カ月。イスラエルがレバノンの空域・海域封鎖を二カ月ぶりに解除するなど、レバノン危機はいちおう収束の方向に向かいつつある。 しかし、実態は脆弱な停戦である。レバノンを舞台にした大規模な戦闘こそ止んでいるものの、ヒズボラの武装解除の目途は立っておらず、依然、重苦しい雲が中東地域を覆っている。

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執筆者プロフィール
畑中美樹(はたなかみき) 1950年東京都生れ。慶應義塾大学経済学部卒業。富士銀行、中東経済研究所、国際経済研究所、国際開発センター エネルギー・環境室長などを経て現職。中東・北アフリカ地域で豊富な人的ネットワークを有する。著書に『石油地政学――中東とアメリカ』(中公新書ラクレ)、『オイルマネー』(講談社現代新書)、『中東湾岸ビジネス最新事情』(同友館)などがある。
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