クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?
クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

皇居に一番近いラーメン屋

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2014年10月10日
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

 私は10日間ほどのパリ滞在中に、さる若い淑女とお近付きになったことがある、などと思わせぶりな書き方をすると、ヘンな妄想を逞しくする方がおいでかもしれない。心配御無用、小学校1年か2年の女の子である。名前は、仮にカリーナちゃんとしておく。

 その頃の私は、英字新聞の編集部勤務で、毎日英語の原稿を書いていた。そこへ某出版社からパリに行く仕事の誘いが来た。実は東京オリンピックの年に行って2泊したことがあるが、今度のを逃がせば花の都をゆっくり見ずに一生を終えるだろう。

「すんまへん、行かしとくなはれ」

「よっしゃ。気ィつけて行け」

 同じ関西人の編集長を拝み倒して快諾を得た。

 

 パリに着いた。貧乏旅行である。私はシャンゼリゼの裏通りを安ホテルを捜して歩いた。

 値段を聞き、部屋を見せてもらって次に移る。40年ほど前の話だが、さすが客商売、ホテルの男は全員が英語を喋った。

 カナダ大使館のあるモンテーニュ通り。超高級ホテルの裏に、適当なのがあった。5階の長期滞在者用の小部屋で朝食付き、バス、トイレは外、部屋にあるのはシングル・ベッドとビデだけ。1泊3500円ほどで、昔にしても安いし仕事場にも近いので、決めた。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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