中東―危機の震源を読む
中東―危機の震源を読む(23)

法王発言とノーベル文学賞 異文化間の息詰まる交渉

池内恵
執筆者:池内恵 2006年11月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ 中東

 九月十二日にローマ法王が南ドイツのレーゲンスブルク大学で行なった説教をめぐって、イスラーム諸国と西欧諸国の間では、激しく緊張したやり取りが交わされた。昨年末から今年三月にかけて吹き荒れたムハンマド風刺画非難の嵐が静まってから半年もたたない頃である。「イスラーム」をめぐるトラブルの頻度は確実に増している。 まず、ローマ法王の発言そのものを検討してみよう。「信仰、理性、大学――回想と省察」と題された説教は、かつて教鞭をとっていた大学ということもあってか、率直な問いかけや、学術的な課題設定と論理展開が特徴的である。テーマはキリスト教神学の最大・永遠の課題と言っていい「理性と啓示の適切な関係」である。

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執筆者プロフィール
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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