露・イランのエネルギー覇権主義に妥協すべからず

執筆者:五十嵐卓 2006年11月号
エリア: ロシア 中東

片やサハリンで、こなたアザデガンで、資源国の横暴が拡大しつつある。当事者となった日本の責任は重い。 日本が極東と中東で時を同じくして、エネルギーを巡るまったく新しい挑戦に直面している。サハリン沖で生産する天然ガスを液化天然ガス(LNG)として輸出しようとする「サハリン2」プロジェクトは「環境破壊」を理由にロシア側の激しい揺さぶりを受け、事業計画が根底から崩れかねない瀬戸際にある。核開発疑惑の渦中にあるイランはアザデガン油田開発をめぐって、開発権を持つ国際石油開発(INPEX)と日本政府を手玉にとり、国際圧力の緩和材料にしようとしている。ロシアとイランに共通しているのは、エネルギーを政治的、外交的影響力拡大の手段にしようとする「エネルギー覇権主義」である。 順風満帆だったサハリン2に暗雲が兆したのは昨年のことだった。沖合のガス田から陸上のLNG製造基地までガスを運ぶパイプラインの海中部分のルートが、希少生物であるコククジラの棲息海域を通るとして変更を余儀なくされた。そのルート変更及び最近の鉄鋼製品など資材価格の上昇によって事業費は当初の二倍の二百億ドルまで一気に跳ね上がった。あまりに唐突かつ急激なコスト増だったが、希少生物保護を理由にされれば、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、三井物産、三菱商事の三社で構成する事業主体はロシア側の言うことを聞かざるを得なかった。

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