インテリジェンス・ナウ
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北朝鮮2度目(?)の核実験を分析するアメリカの「目立たない」情報機関

春名幹男
執筆者:春名幹男 2006年11月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米 朝鮮半島

 どの核保有国でも、核実験は国家の最高機密であり、極秘裏に実施するのが常だ。 アメリカが一九四五年七月十六日に行なった世界初の実験も、旧ソ連が四九年八月に行なった実験も、舞台裏では、米ソのスパイが暗躍した。イスラエルと南アフリカが七九年九月に合同で行なったと言われるインド洋上の核実験は閃光が探知されたが、実験かどうか不明だ。 北朝鮮があえて核実験を予告した裏には、北朝鮮の「核」の政治的特殊性がある。北朝鮮が狙う「核保有国」の地位をめぐって情報戦争が展開されている。 十月三日、北朝鮮外務省が出した前触れ声明は、朝鮮語版と英文で、ニュアンスが微妙に違う。朝鮮語では「核実験を行なうことになる」と曖昧だが、英語では「将来(イン・ザ・フューチャー)核実験を行なう」としている。英語で「イン・ザ・フューチャー」と言えば、すぐやらないという意味もある。 しかしその直後、アメリカから切迫した情報が伝わってきた。クラウチ米大統領副補佐官は五日、訪米した谷内正太郎外務事務次官と会談し、「今週末にもあり得る」との認識で一致した。同日付のワシントン・ポスト紙も「早ければ八日にも核実験」と伝えた。米東部時間の八日(日曜)は日本時間の九日であり、副補佐官とポスト紙の予測は、ぴたり正確だった。米情報機関は確実な兆候を掴んでいたとみるべきだろう。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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