バルト3国が苦慮する「ロシアの挑発」

国末憲人
執筆者:国末憲人 2014年10月28日
エリア: ヨーロッパ ロシア

 ウクライナ東部ドンバス地方で続いていたウクライナ正規軍と親ロシア勢力との紛争は、どうやら親ロ勢力の勝利で終わるようだ。8月まで、鉄砲を撃ち合うような戦闘で正規軍が優位だったが、近代装備を備えたロシア軍の大規模な介入で戦況は一気にひっくり返った。欧米は経済制裁で対抗しているものの、勢力圏の確保に全力を挙げるロシアを制止するには至らなかった。

 親ロ勢力への住民の支持は薄く、特に医療や社会保障面でまともな統治ができそうにない。支配地域ではこれからも混乱が続くだろう。

 一方、軍事的には、クリミア半島からドンバスへと手を伸ばしたロシアが、着実に成果を上げたように見える。そこから、「ロシアが次を狙っているのでは」との不安も生まれている。特に強い懸念を抱いているのが、バルト3国だ。

 エストニアの首都タリンの旧市街。世界遺産に登録されている(筆者撮影、以下同)
エストニアの首都タリンの旧市街。世界遺産に登録されている(筆者撮影、以下同)

 リトアニア、ラトヴィア、エストニアの3カ国は、第2次世界大戦中にソ連の支配下に入った。冷戦崩壊を機に独立を回復し、2004年の北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)への加盟を経た今も、反ロ意識が極めて強い。ただ、いずれの国もロシアと国境を接しており、いかに嫌であろうと隣人関係は解消できない。ロシアは大きな交易相手であり、エネルギー供給を大幅に依存する相手でもある。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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