お気に召して6億円も当然 シェイクスピア最初の戯曲集

執筆者:関亜矢子 2006年11月号

 夫、マクベス王にダンカン王の殺害を促した後、罪悪感から自分の手が血に染まった夢を見て、必死に手を洗うマクベス夫人――この場面は、創作から四百年を経た現在読んでも強い印象を残す。だが、この『マクベス』を含め、『お気に召すまま』『あらし』など、ウィリアム・シェイクスピアを代表する十八の劇は、友人であったジョン・へミングらがシェイクスピアの死後、最初の戯曲全集『ファースト・フォリオ』として出版していなければ、永久に失われていた。「フォリオ」とは、「二つ折り本」という意味で、初版は七百五十部印刷されたが、現存するのは二百五十部ほどだという。

カテゴリ: カルチャー
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