またも入れ替わった北朝鮮「幹部序列」:金正恩の「分割統治」進む

平井久志
執筆者:平井久志 2014年11月5日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は10月14日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が完成したばかりの「衛星科学者住宅地区」を現地指導したと報じた。金正恩第1書記の公開活動は北朝鮮メディアが9月4日に李雪主(リ・ソルジュ)夫人とともに万寿台芸術劇場で牡丹峰楽団の新作コンサートを鑑賞したと報じて以来、40日ぶりであった。金正恩第1書記の40日間の「空白期間」中、韓国では健康悪化説や権力内の異常説まで流れたが、いったん健在を示した。しかし、公開された金正恩氏の姿は杖をついて現地指導するもので、足首などに疾患があることが確認された。

 さらに、金正恩氏が10月28日に平壌のメーデースタジアムで女子サッカーの試合を観戦した際の報道で、崔龍海(チェ・リョンヘ)党書記の名前が黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長より前に報じられ、北朝鮮指導部の政治序列に変動があり、1度は降格された崔龍海氏が再び黄炳瑞軍総政治局長より上位に復権した。

 金正恩第1書記の40日間の空白と、その間の北朝鮮権力内部で何が起きていたかを検証しようと思う。

 

韓国では「クーデター説」も流れる

 金正恩第1書記は9月4日の牡丹峰楽団鑑賞後、公式活動が報じられなくなった。9月9日の建国記念、9月25日の最高人民会議第13期第2回会議、朝鮮労働党創建日である10月10日にも姿を見せなかった。特に10月10日に、金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を訪問する報道がなかったことで、韓国では「金正恩氏健康悪化説」や「クーデター説」までが流れた。金正恩第1書記はこれまで最高人民会議にはすべて出席し、党創建日など重要な記念日には必ず錦繍山太陽宮殿を訪問していたからだ。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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