アーミッシュ的「善」と北朝鮮的「悪」のわかれ目

会田弘継
執筆者:会田弘継 2006年11月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 北米

 安倍晋三首相の電撃的な中韓歴訪の最中、北朝鮮がついに核実験に踏み切ったと発表した。日本を囲む東アジアの戦略情勢は、アメリカも巻き込み、めまぐるしく動き、流動化している。ナショナリズム、共産主義、全体主義、大量殺戮兵器……「近代」の生んださまざまな思想や国家観、そして科学技術が、前近代的な王朝専制と結びついて、おぞましいような奇形となっている北朝鮮。国際社会は、そんな国家にどう対応したらいいのか、考えあぐね、立ちすくんでいる。 その数日前。世界はもう一つ、全く別の意味で考え込まされるニュースに接した。米ペンシルベニア州にあるプロテスタントの一派アーミッシュの学校で少女五人が射殺された事件だ。自動小銃などを持って教室に乱入した男は、十三歳から六歳の少女だけを人質に取り次々と射殺した。男が銃を向けた時、十三歳の少女は「私を最初に撃って、あとの子供たちは解放して」と訴え、怪我をしながらも生き残った十一歳の妹も「次は私を撃って」と訴えたという。 それだけではない。男は少女らを射殺した後に自殺したが、犠牲者の親たちは男の家族を許し、アーミッシュの人々は男の妻や子供たちを抱擁したことなども伝えられた。

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執筆者プロフィール
会田弘継
会田弘継 青山学院大学地球社会共生学部教授、共同通信客員論説委員。1951年生れ。東京外国語大学英米科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを歴任。2015年4月より現職。著書に本誌連載をまとめた『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)、『戦争を始めるのは誰か』(講談社現代新書)、訳書にフランシス・フクヤマ『アメリカの終わり』(講談社)などがある。
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