現地で見た「香港デモ」(上)緊迫する「九龍側」の実態

執筆者:樋泉克夫 2014年11月11日
タグ: 中国 香港 日本
エリア: アジア
 中環の”解放区”(筆者撮影、以下同)
中環の”解放区”(筆者撮影、以下同)

 10月末から11月初めの数日間、「我們要真普選」を掲げた学生らが占拠する香港の街を歩いてみた。学生側が希望していた梁振英・行政長官との直接対話の可能性は今後も低いが、香港政府No.2を筆頭とする政府高官との対話は実現した。だが、現実的に考えて、香港問題に関する最終決定権を香港政府が持たない以上、双方の議論が噛み合うわけがない。だから、平行線のままで終始せざるをえないことは当初から判っていたことだ。

 9月28日の占拠開始からすでに1カ月以上。とどのつまり、“攻守双方”が決定的切り札を持たず、落としどころも見つからず、先の展望も開けぬままに事態は膠着状態に陥った。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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