アメリカの「誰」が上限金利引き下げに反対なのか

2006年11月号
エリア: 日本

 敬愛する加藤良三閣下 フィナンシャル・サービシズ・ラウンドテーブル(FSR)を代表して、上限金利引き下げに対する懸念を表明させて頂きます。人工的な金利引き下げは信用収縮を及ぼし、借りられなくなった消費者を相手にヤミ金融が跋扈します。日本の経済成長率に対しても、悪影響の出る可能性があります。なにとぞご再考を。    スティーブ・バートレット 今年八月八日、加藤良三駐米大使は、A4判二枚に英語で綴られた陳情書を受け取った。FSRは米金融機関百社が参加するロビイング団体。参加行の従業員数は二百四十万人で、指折りのロビイング・パワーを誇る。 FSRが“問題視”していたのは、日本の貸金業法の改正法案だった。出資法の上限金利二九・二%と利息制限法の一五―二〇%に挟まれたいわゆるグレーゾーン金利を廃止し、出資法の上限金利を利息制限法の水準にまで引き下げる内容だ。違法な取立てが相次ぎ、四月に金融庁から全店業務停止処分を受けた消費者金融のアイフル事件がきっかけとなり、多重債務者問題に焦点が当たった。 日本では、歴史的に、アイフル問題のようなスキャンダルをきっかけに、政治が上限金利を下げてきた。 だが、市場メカニズムを信奉するある種の米国人にとって、「金利」というお金の価値や信用力のモノサシを人工的に決める政策は理解しがたい。州によって異なるが、上限金利がないアメリカでは、収入が少なく資金力のない者にとってお金の価値、つまり金利が高いのは当然と考えられている。もちろん、破産者は出る。ただ、それは基本的に借り手の責任で、債務整理などの周辺ビジネスもオープンに整備されている。

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