出だし好調の安倍政権を待つ世界景気「減速リスク」

執筆者:小田博利 2006年11月号
エリア: 日本

そこにある東アジアは、昨日の東アジアではない。ガラリと変わった政治情勢に比べ、変わらぬものはマネー制御の困難だ。「欧州情勢は複雑怪奇」。独ソ不可侵条約の締結の報に昭和十四年(一九三九年)八月二十八日、ときの平沼内閣は総辞職した。安倍晋三首相の中韓電撃訪問に続く北朝鮮の核実験実施の報に、「複雑怪奇」と顔を覆いたくなる人たちがいるはずである。 靖国問題や歴史認識を主戦場とし、中国や韓国への謝罪が足りないと繰り返していた人たちのことだ。国会論戦などで東京裁判のキーナン検事張りに首相の歴史認識を追及しても、既に東アジアの舞台はガラリと変わっている。もう一人の道化師は韓国にいる。大統領・盧武鉉、その人である。金大中、盧武鉉と二代続いたチェンバレン張りの太陽政策は完全に破綻した。 その現実から目を背けたいのだろう。盧大統領は北の核実験発表当日というのに、日韓首脳会談でまず歴史認識の問題を持ち出した。中国が既にトウ小平流の戦略的思考から安倍首相と手を握ったのをよそに、半島の小人は昔覚えた歌を忘れない。韓国のメディアはとっくに盧政権を見限っている。 二月の訪中や八月の日中シンポジウムで今回の先鞭を付けたとされる中川秀直自民党幹事長は、とてもご機嫌だ。「一九七二年のニクソン訪中に匹敵する国際的転換」と、日中首脳会談を自画自賛する。身贔屓は差し引くとしても、共同記者発表文についての解説が興味深い。重要なのは「戦略的互恵」という表現だ。

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