「北の核」に揺れる韓国で次期大統領選の駆引きが加速

執筆者:黒田勝弘 2006年12月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

今後の韓国が進む道は「対北宥和」か「国際協調」か。東アジア外交を大きく左右する大統領選が始まろうとしている。[ソウル発]ソウル麻浦区東橋洞にある金大中前大統領の自宅(正確にいえばその裏)に、十一月二日「金大中展示室」なるものがオープンした。ノーベル平和賞を受賞した金大中氏の政治的業績を称えるもので、政府の支援も入っている。「延世大学金大中図書館」だったのを内部改装してあらためて発足したものだ。 この「延世大……」というのも、元は「アジア太平洋平和財団(通称・金大中財団)」として息子が管理していたのだが、大統領在任中の息子の金銭疑惑が発覚したため「財団」を手放さざるをえなくなり、大学に寄贈したかたちになっていた。「金大中展示室」を設け、その業績を顕彰し記念するわけだから、このコンクリート四階建ての建物は実質的に「金大中記念館」である。 余談だが、ソウルには今なお「朴正熙記念館」はない。故朴正熙は一九六〇年代から七〇年代にかけ、十八年間の大統領在任中、「漢江の奇跡」といわれた経済発展と近代化で現在の韓国の基礎を築き、国力において初めて北朝鮮を逆転することに成功した人物である。世論調査では歴代大統領の中で最も人気がある。その朴正熙の記念館はないのに、やめたばかりの金大中氏には早くも記念館があるのだ。しかも政府支援で。

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執筆者プロフィール
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
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