面従腹背の「地方」に悩む胡錦濤の次なる手

執筆者:藤田洋毅 2006年12月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 中国・台湾

腐敗撲滅よりも売春合法化を――やりたい放題の地方に対しては、一罰百戒も長くは効かない。ならばその先には……。「反腐敗闘争が盛り上がっています。ついには、全三十一の省・自治区・直轄市が党中央規律検査委員会のチーム受け入れを表明しました」 九月二十五日に発表された陳良宇上海市党委員会書記(政治局員)の解任を受け、中国各地方のトップが相次いで「表態(態度表明)」したという。胡錦濤総書記率いる指導部の決断を支持し、各地の腐敗を撲滅するため、上海と同じく党中央規律検査委(以下、中央検査委)のチームを受け入れる準備があると宣言したのだ。「大きな成果と前進」を誇るのかと身構えていたら、浮かぬ表情で党中央の中堅幹部は続けた。「単なるゼスチャーですよ。地方から駆り出した財務専門の係官を軸に上海には百三十人ほどが張り付いており、北京にも百人を上回る係官を投入したそうです。中央検査委の戦線は延び切っており、もはやよそに回せる余裕などない苦しい台所事情を見切っているのです」 陳良宇を斬って他の地方指導者に見せつけたものの、一罰百戒の「威嚇効果は長くても一年」と幹部は言い切った。 陳の失脚を機に、江沢民前総書記時代に全盛を極めた上海幇(グループ)は、瓦解の速度を増している。党序列六位で上海幇の中心メンバーの黄菊政治局常務委員(筆頭副首相)は、陳解任を正式決定した九月二十四日の政治局会議の席上、正式に辞任の意向を口にしていた。先の幹部によると黄は、(1)(膵臓がんと噂される)重い病を患い、病状も安定していない。党から託された任務を完遂できそうにない(2)陳良宇の深刻な腐敗案件のいくつかは、自分が党委書記として上海を主宰していた時代(一九九四―二〇〇二年)に関わっている。指導的立場にある党員として、逃れられない責任がある――と表明したという。

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