2014年秋「平壌打令」(4)「元山開発」に秘められた「対南攻勢」の思惑

平井久志
執筆者:平井久志 2014年11月21日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 訪朝第4日目の10月10日は朝鮮労働党創建記念日です。この日は、元山を日帰り訪問することになっていました。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の「故郷」でもあり、開発が急速に進んでいる元山訪問はわれわれの希望でしたが、党創建記念日に元山行きになったのは少し意外でした。北朝鮮側が平壌で党創建記念日の関連行事参観をセットするのではと思っていたからです。今年は党創建69周年で「区切りの年」ではないために、催しも小規模でした。そのために、われわれに見せるものが、あまりなかったのかも知れません。

 ホテルを午前8時に出発しました。平壌と元山を結ぶ道路は北朝鮮でも主要幹線道路です。興味深かったのは平壌を出発して数字の標識がずっとあったことでしたが、途中からそれが平壌からのキロ数を表すものであることが分かりました。その裏側にも数字があり、それは元山からのキロ数でした。この標識によると、平壌―元山間は194キロという計算になります。

 道路は4車線です。上り下りが区分されているわけではありません。道路はすべてコンクリート舗装でした。

 

穴だらけの「平壌―元山」幹線道路

 しかし、コンクリート舗装の上に、あちこちに大きな穴があいていました。運転手さんは、その穴をよけて通るのですから、4車線であっても実質的には2車線のようなものです。しかも、あちこち穴があいているので、スピードは出せません。舗装が十分になされていれば、194キロですから2時間もあれば元山に到着するのですが、スピードが出せないので、元山の手前にある馬息嶺スキー場まで2時間半掛かりました。馬息嶺と元山は約30分ですから、平壌―元山は3時間という計算でしょうか。道路の穴ぼこのために、車は実際には時速60キロぐらいでしか走れないわけです。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順