「年金崩壊」を放置する政治家たちの罪と罰

執筆者:山田利三 2006年12月号
エリア: 日本

社会保険庁という組織も大問題だが、年金制度自体の見直しを遅らせてはならない。政争の具にすることは許されない。「年金保険料の強制徴収に限っては、類似する税金の徴収と一元化して国税庁、税務署に移管するのも一つの方法だ」 十月二十九日、自民党の中川秀直幹事長は遊説先の山口市内での講演で、社会保険庁の強制徴収部門を分離し、国税庁に統合する構想をぶち上げた。日曜日ではあったが、発言の内容は間をおかずに財務省や厚生労働省へ伝わり、両省の幹部たちは「ついに口にしたか……」と表情をこわばらせた。 伏線は、先の自民党総裁選の終盤にあった。九月中旬、圧勝が予想されていた安倍晋三官房長官(当時)の陣営から一枚のA4ペーパーが流され、与党や財務、厚労両省の一部幹部に出回った。「内国歳入庁(仮称)構想」と銘打たれたペーパーは、竹中平蔵総務相(当時)の意向を受けた側近官僚が作成したとされる。その内容は、保険料の強制徴収権を三千人の職員とともに社保庁から国税庁に移し、アメリカの内国歳入庁(IRS)を模した組織に改組したうえで内閣府が所管する、というもの。残る年金相談や給付といった部門は非公務員化し、大幅に民間委託することも盛り込んでいた。

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