深層レポート 日本の政治
深層レポート 日本の政治(83)

「豹変の名手」になった安倍首相の老獪な政権運営

2006年12月号
カテゴリ: 政治 金融
エリア: 日本

 九月の自民党総裁選で安倍晋三首相に敗れ、“浪人”生活を送る谷垣禎一前財務相が十一月九日、一カ月半の“沈黙”を破り、「最近の政治に思うこと」と題して東京・汐留の共同通信社で講演を行なった。安倍内閣発足当日、谷垣派外しの閣僚人事に「党内配慮が十分ではない。挙党態勢の面で大きな問題を残した」と怒りをあらわにした谷垣氏だけに、どんな辛口の政権批判が飛び出すか、会場には多数の記者が詰め掛け、テレビカメラがずらりと並んだ。「速やかに中国、韓国と首脳会談を行なったことを高く評価したい。北朝鮮の核実験の前に会談をセットできたのは極めていいパフォーマンスだった。(就任後は)適切な、現実的な発言をなさっている。総理の立場の重大さを踏まえておられると思う」「内政では官僚主導でなく、政治主導でやるというメッセージをかなり出している。首相補佐官の活用もそうだし、政府税調についても従来、財務省と表裏一体でやってきたが、内閣が主導性を発揮すべきだというメッセージが出されている」 元ライバルが発したのは批判ではなく賛辞だった。「勝てる党首」になるために 人事で干し上げられた恨みを脇に置き、率直にエールを送る姿は、良くも悪くもけれん味のない、谷垣氏ならではのものだ。だが、谷垣氏ほどの人の良さは持ち合わせていない山崎拓前副総裁らほかの反主流派幹部にしても、音無しの構えは同じだった。

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