2014年秋「平壌打令」(5・最終回)「変化」は経済から生まれる

平井久志
執筆者:平井久志 2014年12月8日
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮滞在も5日目に入りました。10月11日、12日はもっぱら施設参観でした。この施設参観の話に入る前に、まず今回の北朝鮮訪問で実感した人々の暮らし向きや経済の話をしようと思います。

 

目立つハイヒール

 平壌は12年ぶりの訪問でしたが、いちばん感じたのは社会主義的な暗さが少し薄れたような感じでした。街全体がなんとなく明るくなり、女性の服装などもそれぞれの人が工夫をしていると感じました。以前は、何かくすんだ感じがあったのですが、少し垢抜けした感じです。ただし、これは僕たちが訪問した期間が10月10日の党創建記念日をはさんだ1週間でしたから、普段よりも平壌が美化されていたのかもしれません。

 ハイヒールを履いている女性がずいぶん多くなったように感じました。女性の足下ばかり写真を撮ったり、見つめたりしていると変な目で見られました。まだ数は少ないものの、イヤリングを付けた女の子もいました。

 しかし、平壌の街をよく目を凝らして見ていると、華やかな服装の一方で、人民服のような格好で、とても重たそうな荷物を担いでいるような従来式の姿もありました。これからの北朝鮮はむしろ、この服装の差に現れているような「格差」との戦いを強いられるのではないかと思いました。社会主義の原則は「平等」ですが、「市場」(いちば、しじょうではありません)の拡大で商業主義が入り込み、北朝鮮にも格差の拡大という風が吹いているように思いました。北朝鮮当局は頭が痛いことでしょう。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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