ブッシュは“イラク破綻”の責任をどう取るのか

執筆者:田中明彦 2007年1月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 日本

 十一月に行なわれたアメリカの中間選挙の前までは、ブッシュ大統領は、イラクにおいて「われわれは勝利しつつある」と宣言していた。十二月五日、国防長官としての承認をうける上院聴聞会の席で、ロバート・ゲイツ氏は「われわれは今イラクで勝利しつつあると思いますか」との問いに対して、「ノーであります」(No, sir)と答えた。 イラクではアメリカは勝利できない、というのが今やコンセンサス(合意)である。コンセンサスが常に正しいわけではないし、ゲイツ新国防長官もアメリカが「負けている」わけではないと付け加えている。しかし、新任の国防長官がちょっと前までは大統領が言っていたことと百八十度違う、「勝利していない」という前提で今後の政策を語るということの意味は大きい。 十二月六日にブッシュ大統領に対して報告書を提出した「イラク研究グループ」の認識も同じである。ジェームズ・ベーカー元国務長官(共和党)とリー・ハミルトン元下院議員(民主党)を共同座長とするこの「イラク研究グループ」ほど、現在のアメリカの安全保障問題の重鎮ばかりを集めたグループは珍しい。民主党のウィリアム・ペリー元国防長官や共和党のローレンス・イーグルバーガー元国務長官もメンバーだし、ゲイツ国防長官もブッシュ大統領から国防長官に指名されるまでは、メンバーだった。このエスタブリッシュメントの典型ともいうべきグループもまた、現在のイラクでアメリカは勝利できない、可能なことは、悪い帰結の中のもっとも悪くない選択をすることのみだとの認識なのである。

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