ウクライナの現在(下)EUの中に「ソ連」がある?

執筆者:国末憲人 2014年12月18日
エリア: ヨーロッパ

 1991年に独立して以来、ウクライナは「革命」と呼ばれる出来事を2度経験した。2004年の「オレンジ革命」と、今年のいわゆる「ユーロマイダン革命」だ。

「オレンジ革命」は、欧米の市民団体や国際機関の支援も得ながら、若者を中心とした大衆運動が強権政治を覆した、画期的な政変だった。もっとも、政治体制の変化に目を向けると、「革命」というより「改革」と呼ぶにふさわしいのは、フォーサイトの記事「ウクライナ『流血デモ』は『オレンジ革命』と何が違ったか」(2014年1月29日)で論じた通りである。「オレンジ革命」によって親欧米政権を担うことになったユーシェンコ氏は、革命前のクチマ政権で首相まで務めた人物であり、革命の前後で連続性が保たれているのは明らかであるからだ。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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